編集者インタビュー1
INTERVIEW
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佐藤 太智
2014年、株式会社ワニマガジン社に新卒で入社。成年向け漫画の編集に携わり、2019年に『イジラレ』(作・愛上陸)がヒット。その後、成年コミック誌の編集長を経て、2024年に株式会社ブシロードワークスに入社。好きな漫画は『るろうに剣心』『武装錬金』『ブラックラグーン』『パンプキン・シザーズ』。
- 何故漫画編集者を選んだのか
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もともとはアニメの演出家を目指していました。ただ、自分には絵を描く才能がなく挫折し、大学では精神分析学や男性のセクシャリティ論を用いて漫画の研究を行っていました。大学での研究が元となって、成年向け漫画大手のワニマガジン社に漫画編集者として新卒で入社しました。読切短編を作り続ける毎日で、単行本も短編集が主体でした。そんな折、一冊で一貫したストーリーを持った担当作『イジラレ』がヒットしまして、もっとストーリー色の強い漫画を作りたいという欲望が出たので転職しました。
コミックグロウル編集部は前職と違って、媒体の歴史が浅いのでブランドや媒体の色を自分で作っていく感覚が強いです。全員がそれぞれ好きな漫画が違うので、多種多様な考え方があるのも魅力です。もちろん、面白い漫画を作る、ということは一貫していますが(笑)。
- 漫画編集者としての仕事
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現在、コミックグロウル編集部のデスクとして各編集部員の労働管理や新人教育と並行して連載漫画の編集を担当しています。これから連載が始まるものも含めて6本ほどを担当しています。これと並行してアンソロジーなどの短編集の編集、クオリティチェックもこなしています。
コミックグロウル編集部は「スタンドプレーから生じるチームワーク」を感じる職場です。編集者は裁量労働制なので、各編集が来る時間もバラバラ、帰る時間もバラバラです。各編集の裁量が大きく、その分仕事に対する責任も大きいです。ただやった仕事の分、評価が可視化されるので、やりがいはかなりありますね。
- 編集者としての目標
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いま挑戦しているのは「コミックグロウル」という媒体のブランド力をいかに高められるか、ということです。読者側からしたら「コミックグロウル」を読めば面白い漫画に出会える、作家側からしたら「コミックグロウル」でぜひ描きたい、そんな媒体にできたら最高かな、と思っています。
また編集者としては100万部は目指したいところですね(笑)。出版物が売れない現在ですが、漫画だけは売れ続けているんです。10万部は作ったことがあるので、次は100万部かな、と。たぶん目標を達成したら1000万部って言っていると思います。そのためには人の心に残る作品、語られる作品を担当することですかね。漫画を作るということは誰かと自分の物語を共有したい、ってことだと思うので、それが伝播すればいいなと感じています。
- 新卒へのメッセージ
- 漫画編集者は漫画家の仕事を助け、本を作り、世の中に送り出すのが仕事です。漫画が趣味ではなくてもはや生活の一部になっている人、人と話すのが大好きな人、そういう方に向いている仕事だと思います。地味な作業も多いので、最初は面食らうことが多いかもしれませんが、それが積み重なっていっていい仕事につながっていきます。自分のやった仕事が成績に直結していくので非常に面白い仕事だと思います。僕は大学で漫画の研究をしていたこともありこの仕事の役に立っていますが、学校で学んだことは何でも漫画に活かすことができます。芸術学、経済学、文学、物理学、数学、心理学、プログラミング、服飾etc.それらはすべては漫画にすることが可能です。ぜひ学校での勉強もおろそかにすることなく頑張ってください!
- 1日のスケジュール
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通常時
11:30出社
12:00メールチェック
12:30昼食
13:00打ち合わせ
15:00ネームチェック
16:00打ち合わせ
17:00企画検討
18:00間食
19:00入稿作業
20:00退社
多忙な一日
10:00出社
11:00打ち合わせ
12:00打ち合わせ
12:30昼食
13:00打ち合わせ
14:00ネームチェック
15:00メールチェック
16:00単行本作業
17:00入稿作業
18:00退社
19:00打ち合わせ(会食)
23:00打ち合わせ(オンライン)