一般的に好きを仕事にしないほうが良いと言われますが、自分は興味のないことに力を注ぐことができない人間なので、自然と進路は決まっていきました。座談会でも触れていますが、エンタメの中で優先度が高いと考えていたのが漫画で、自分がゼロイチ側となる意識はなかったので、関わるとしたら編集者でした。

普通の会社員とは働き方が違うだけで、目の前の業務を続けることに変わりありません。出社はあるし、上司はいるし、責任もあるし。作家さんの描きたい世界を、幅広い読者さんに伝えるにはどうしたら良いか考えるのが編集者なので、視野は広く、主観と客観の意識は常に持ちたいと思っています。言うは易しですけど。

大きくて夢のある目標を語るべきなのかもしれませんが…作家さんが作り上げてくれる作品を面白いと信じて自分も並走しているので、それが世に出て面白いと言ってもらえたら嬉しいです。作家さんと読者さんが充実した気持ちになれていれば満足な気がします。

編集者は華のある仕事に見えますが、多くは地味に堅実に社会性を求められる普通の会社員です。娯楽は人生を豊かにする一方、必要不可欠ではありません。けれど必要としていなかった方に思わぬ驚きを与えることもできます。それが華やぎの瞬間かもしれません。