SENIOR EDITORS
ベテラン編集者座談会
長年のキャリアを持つ 編集者二人による 本音座談会
コミックグロウル編集長
稲垣 一真
2009年、株式会社マッグガーデンに入社。漫画編集者としてのキャリアを開始し、コミックブレイド副編集長を務める。2015年、株式会社KADOKAWA入社後、ヤングエース編集長を務める。2025年より当社取締役に就任、現コミックグロウル編集長を務める。
コミックグロウル編集長代理
小澤 健志
2006年、編集プロダクション・銀杏社に入社。
「週刊少年マガジン」に配属され、漫画編集者としてのキャリアを開始。2011年、富士見書房(現在のKADOKAWA)に転職。ヤングドラゴンエイジを立ち上げ、編集長になり、ドラゴンエイジの編集長も2020年より兼任。『トリニティセブン』などを担当。2026年、ブシロードワークスに転職し、コミックグロウル編集長代理を務める。
編集長の仕事とは?
稲垣
「編集長」の役割って、歴史がある雑誌か、うちのコミックグロウルみたいに新しい媒体かで全然違ってくると思うんですよね。歴史がある雑誌なら、読者と共に積み上げてきた「雑誌のカラー(軸)」をブレさせずに運営していくことが大事になります。でも、グロウルにはまだ固定されたカラーがありません。だから僕は方向性を押し付けるんじゃなくて、担当編集者や作家さんが「面白い!」と思っている熱量を絶対に潰さない環境づくりこそが自分の仕事だと思っています。
小澤
カラーに関する捉え方は僕も完全に同意見です。グロウルはこれからカラーを作っていく段階ですからね。その上で、僕自身の役割としては「チームの運営とマネタイズ」、そして「部員の編集力向上と育成」だと思っています。出版の世界においてしっかり利益を出すことってすごく重要で、それが会社に対する提案を通りやすくするし、自分たちがやりたいことを守るための「防御力」を上げることにもなるんですよね。
稲垣
「防御力」っていう表現、すごくしっくりきますね(笑)。確かに、稼げていないと「これをやりたい」って言っても会社に認めさせられないですからね。
小澤
そうなんです。だからこそ僕は現場で培ってきた経験やノウハウを後進に伝えて、現場の編集力をアップさせて、稼ぐことができるチームに育てていくことが、編集長代理としてのミッションだと考えています。
漫画編集の仕事のやりがい、面白いと感じる点
稲垣
僕の場合はもう「やりがいは全部」というのが正直なところですね(笑)。幼少期からめちゃくちゃオタクなので、仕事と趣味の境界線がなくて、人生そのものが編集者の仕事と一体化している感覚です。ただ、強いて一番を挙げるなら「埋もれていた才能を見つけ出して、世の中に提示できた時」です。まだ誰にも注目されていない原石みたいな新人作家さんを見つけて、「この人、すごいでしょ!」って世界に証明できた瞬間の感動は、何物にも代えがたいです。
小澤
原石を見つけて世に送り出すのは、まさに編集者の醍醐味ですよね。僕の場合は発掘はもちろんですが、ストーリーの下打ち合わせで、出した提案が作家さんの魅力を新たに引き出すことができた時にもやりがいを感じます。作家さんがその提案を見事に料理してくれて作品が面白くなって、アンケートの人気やコミックスの売上がアップするという明確な数字として結果が出た時は、とても嬉しいですね。
稲垣
自分の提案と作家さんの才能が掛け合わさって跳ねたときは、最高ですよね。
小澤
そうですね。「作家さんと一緒に作った作品がちゃんと読者に届いた!」と実感できる瞬間は手応えを感じますね。
印象に残った出来事
小澤
担当していた連載作品で、エピソードのヒキが打ち合わせしていた内容と全然違う展開でネームがあがってきたことがあって、それがこちらがまったく予想をしていなかった展開で、すごく面白くて。その時は「漫画家さんの発想力って本当にすごいな」と心底感動しました。
稲垣
打ち合わせを良い意味で飛び越えてこられた時! あれは編集者として本当にテンション上がりますね。印象に残った出来事で言うと、僕が一番覚えているのは、初めて自分の担当作のコミックス(見本誌)が会社に届いた日のことです。周りの先輩から「信じられないくらい嬉しそうな顔をしてるぞ」と言われるくらい無意識に感動していて(笑)。
小澤
見本誌が手元に届いた時って、何度経験してもやっぱり特別な嬉しさがありますよね。
稲垣
そうなんですよ。あとはメディアミックスされた作品を両親や親友が観て感想をくれたり、雑誌の奥付で名前を見つけて喜んでくれたりしたのも嬉しかったです。目に見える形で成果が大事な人に伝わった瞬間は、素直にやってて良かったなと思いました。
ブシロードワークスという会社の雰囲気や、環境の特徴
稲垣
一言で言えば「経営陣との距離が圧倒的に近い」ことですよね。大手出版社だと社長や役員は遠い存在だけど、うちは社長ともフラットに話ができます。ちゃんとロジックを持って提案すればスピーディに決断して実行させてくれるから、この決断の早さと自由度は大きな強みだし、アットホームで提案が通りやすい環境だと思います。
小澤
社長との距離の近さには本当に驚きました。職場の雰囲気としては、オフィスフロア自体はみんな黙々と作業に向き合っているので一見静かに見えますよね。
稲垣
確かに、普段はみんな画面に向かって静かに仕事してますね。
小澤
でも、内面にある「熱量」は非常に高いじゃないですか。連載会議になると全員が主体的にコメントしていて、「絶対に面白い漫画を作るんだ」という意志が伝わってきます。お互いをリスペクトしつつ切磋琢磨できる、すごく熱意のあるチームだと感じています。
コミックグロウルとしての野心、野望
稲垣
売上をどんどん伸ばして、5年・10年のスパンで老舗出版社や大手・中堅他社をしっかりと追い抜いていくことです。新興媒体だからこそ既存の枠組みにとらわれずに勝負ができますし、業界の上位ポジションに食い込むような大きな組織へと成長させていきたいですね。
小澤
大手・中堅を追い抜くというのは熱いですね! そのためには、編集部全体の力がさらに上がっていくことが必要ですね。生まれて、まだそこまで経ってない編集部だからこそ、個々の編集者が自立してヒットを生み出せるスキルを身につけることが、そのままチームの爆発力に直結すると思っています。
稲垣
個々の力を底上げして、チームとして強くなっていくのは不可欠ですね。
これから入社を目指すみなさんへのメッセージ
小澤
求めたいのは、「人」と「コンテンツ」の両方に対する強い好奇心ですね。「なぜこの作品は多くの人に刺さっているのか?」という興味を持ってその理由を分析できる力、そして作家さんが何を表現したいのかを引き出すコミュニケーション力が重要だと思います。
稲垣
ヒット作をただ楽しむユーザー目線だけじゃなくて、「ヒットの理由」を一歩踏み込んで深掘りする視点は絶対に必要です。
小澤
そうなんです。エンタメが好きで、客観的に分析することもできる人と一緒に働いてみたいですね。
稲垣
好奇心のアンテナやフットワークの軽さは大前提として、僕から伝えたいのは何より「ハングリーさ」と「覚悟」です。「自分の手で絶対にヒット作を世に送り出してみせる」「この仕事以外に自分に道はない」という強い飢餓感や情熱が一番の武器になります。自分の時間やエネルギーを惜しみなく作品づくりや作家さんに注ぎ込めるような、熱い覚悟を持ったみなさんとお会いできるのを楽しみにしています!
日々の仕事のリアルや作品にかける情熱を
本音で語り合う